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私は勉強が嫌いでした

子どもたちを見ていると、自分が子どもの頃どんなだったかなあとふりかえらずにいられません。ふりかえってみると、私は勉強の嫌いな子どもでした。わからないところはまったくわからず、わかろうという努力さえしませんでした。だから、勉強が嫌いな子ども、わからないで投げ出してしまっている子どもの気持ちはよくわかります。そんな子どもたちに寄り添っていきたいと思う毎日です。

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宿題を出すべきか、出さざるべきか

12/8/2015

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家庭教師が宿題を出すべきなのかどうか、一律な正解があるわけではありません。これは家庭教師に限らないことであり、宿題に限らないことですが、必要があれば何だってするべきだし、必要がないことは何にせよすべきではありません。私は、生徒に必要があると感じたら宿題を出しますし、必要がないと思ったら宿題は出しません。あまりにもあたりまえな話だと思います。
しかし、量をこなすことがそのまま勉強であると思い込んでいる人々には、この考え方が理解できません。私が宿題を出さないと、「なぜ宿題を出してくれないのですか? 週に1回の家庭教師で勉強が足りるとはとうてい思えません。もっとしっかり勉強させてください」と、生徒家庭の側から苦情が出ることが少なくありません。その背景にはたいていの場合、成績が十分に上がっていないという実態があるので「いま、宿題は必要ありません」という言葉に説得力はありません。困ってしまいます。

実際、多くの生徒にはもっといろんなことを学んでほしいし、そのために宿題はひつとの手段だと思います。可能な場合にはそういう観点から宿題を出しています。しかし、現実に出せない場合も少なくありません。
まず、学習内容の理解が不十分な場合です。「宿題」に対する世間一般のイメージは、反復練習です。そして、理解ができていないことを反復するほど無意味なことはありません。理想的には指導時間内に十分に理解させ、その成果を反復練習として宿題に出すことになるのでしょうが、限られた指導時間内で世間的なイメージに見合ったほどの反復練習を可能にするほどの内容をカバーすることはできません。せいぜい10題とか20題程度に対応するのがやっとということになるわけで、これでは世間的には1週間分の宿題を出したうちには入らないようです。
もうひとつのパターンは、反復練習系の宿題がまずまちがいなく役に立たないとわかっている場合です。多くの生徒は、(特に私が教えている地域では)学校から過大なほどのドリル系の宿題を出されているため、およそ反復練習で身につけられるような技術は私が教える以前にほとんど身につけてしまっています。だから、それ以上に反復練習を積ませても、ほぼ何の役にも立ちません。
もちろん、すべての生徒がこういった種類の問題を完璧に解けるわけではありません。むしろ、反復練習をして技術としては文句のないレベルまで達している生徒が、あっけないほど単純な問題をまちがえます。そういうまちがいを目にすると、ご家庭の側は「それ見たことか」と、「練習が足りないからこんなつまらないミスをする」と指摘します。しかし、ここで必要なのは反復練習ではありません。なぜなら、そこに至るまでに生徒は既に大量の反復練習をこなしています。それでもまだミスをするのであれば、それは客観的にみて反復練習が効果をあげていないという実態を反映しているものにほかなりません。であるのなら、同じ方法をさらに積み重ねても、どこまでもゼロが続くだけだということがすぐにわかるはずです。それ以外の方法が必要になってきます。
たとえば、実に数多くの生徒が、方程式の解法の最後の詰めでミスをします。よくあるのが、3/2x=5というような分数の混じった計算です。これがふしぎなことに、3x=6のような係数が整数でおまけに解が整数になるような計算では、ミスはほとんど発生しません。整数÷整数ならまちがえないのに、係数が分数だったり、あるいは解が分数になるような場合には、そこそこに優秀な生徒にも「あれ、どっちをどっちで割るんだっけ」と混乱する場合がみられます。そして、このような混乱は、いくら練習を積んでも解消しないものなのです。
なぜなら、「どっちをどっちで割ればいいのか」は、ほんの5秒でも考えたらまちがえようのない単純な原理にもとづいているからです。暗記する必要もなければ、訓練で身体に染みこませる必要もありません。単純に、「迷ったら一歩止まって考える」習慣だけを身につければいいのです。
あるいは、方程式の解をていねいに求めているのに、最後に正負の符号をまちがえているケースも実に多くみられます。こういうのも、反復練習で減少するようなミスではありません。だいたいが、人間はまちがえるものです。コンピュータではありませんから、「うっかりミス」を防ぐことは不可能です。しかし、ミスをおかしたかどうかを判定し、それを訂正することは可能です。方程式の場合では、解をもとの式に代入して正否を確認するという手順が用意されています。符号のまちがえのような単純なミスは、ほぼ100%、この手順を通すことによって訂正することができます。それをいつまでも同じミスを繰り返すのは、練習が足りないのではなく、「自分はミスをおかす人間だ」という事実に向き合わず、教えられた通りの「解の確認」という手順を自分勝手に省略しているからにほかなりません。
そして、「ちょっと立ち止まって考える」「答えが妥当かどうかを確認する」といった非常に重要なプロセスは、過剰な反復練習を強制することによって身につかないどころか、むしろどんどんと捨て去られることになります。なぜなら、大量の問題を解かねばならないときにいちいちそんなことをしている暇はないからです。それよりはそういったことをすべて省略しても正解が得られる「正しい手順」を覚えたほうが早いのです。そして、それを覚えることが勉強だという錯覚を身につけてしまいます。
けれど、人間なんて覚えたことは必ず忘れるのです。その典型的な例が、「どっちでどっちを割るんだっけ」という生徒のつぶやきです。そして、覚えることが勉強だと思い込んだ生徒は、その迷いから抜け出す方法を見出だせません。原理原則まで戻らなくてもおよそ誰もまちがえない整数同士の問題にもどってそこで実際にどっちをどっちで割っているのかを確認すれば済む話なのに、それを思いつくことができません。結果として「いくら勉強しても成績が上がらない」生徒ができあがるわけです。

このように、反復練習系の宿題が役に立たない場合、むしろ害になる場合があることがわかっているだけに、それを実行するには慎重にならざるを得ません。反復練習そのものは、必要なタイミングで十分な量を行うことに大きな意味があります。けれど、そのタイミングと量の判定には慎重であるべきです。そこがうまく判定できないならむしろ出さないほうがマシという判断だって、十分に価値があります。だからどうしても、私の出せる宿題の量は少なくなってしまいます。
そういった困難の少ない宿題は、たとえば英語の音読であるとか、長文の読解であるとか、数学であれば証明問題をていねいに解かせてみるとか、理科や社会では用語について100〜200文字程度で記述をさせてみるとか、国語なら作文とか、およそ地味で、一般的な「宿題」のイメージに合わないものです。また、生徒の側もこういった成果が目に見えにくい宿題は適当にやったことにしてしまったり、「やりかたがわからなかったからしませんでした」みたいな口実をつくったりと、積極的にサボってきます。家庭の側から見ると、わずか数題しかない問題を何日もかけてやっているのは、やっぱり勉強しているように見えません。結果として、「宿題をもっと出してください」という苦情になってしまいます。

形だけ、「ここからここまでドリルをやっておいて」と宿題を出すのは実に容易いことです。それをやってきた生徒を褒め、やらなかった生徒にプレッシャーをかけて生徒の「やる気」を引き出すのも、それほどむずかしいことではないでしょう。ただ、それが本当に生徒のためになるのかどうか、本当に生徒の成績をあげてくれるものなのかどうか、冷静に考えたときに、本当に悩ましい問題として浮上してきます。宿題を出すべきか、出さざるべきか。答えはそんなに簡単には出ないのです。数日前にも、ある生徒の家庭でこういう問題が発生しました。ため息だけついていてもはじまらないのですけれど。
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    松本淳

    全国展開しているある個別指導塾に所属して家庭教師をしています。会社の許可を得て、2013年春から自宅周辺地域で自営の家庭教師をはじめています。

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